
ホームページ制作を進めるとき、多くの方が最初につまずくのが「作りたいもののイメージをどう伝えるか」です。たとえば「スタイリッシュにしたい」「やわらかい雰囲気がいい」といった言葉は、依頼者の中では明確でも、受け取る側にとっては解釈の幅が広くなりがちです。その結果、完成イメージにズレが生まれ、修正が増えたり、スケジュールが延びたりすることがあります。
しかし、伝え方の手順を少し整えるだけで、こうした認識ズレは大きく減らせます。そこで本記事では、k-design株式会社の制作現場でも実際に重視している考え方をベースに、一般の方でも実践しやすい「イメージ共有のコツ」を丁寧に解説します。なおシリーズ記事として読まれる場合でも、この記事単体で完結するよう構成しつつ、次に何を考えるべきかが自然につながるようにまとめます。
目次
イメージ共有がうまくいかないと、なぜ失敗につながるのか
ホームページ制作は、単にデザインを整える作業ではありません。事業やサービスの価値を、初めて訪れた人に伝え、必要な行動へ導くための「設計」を行う仕事でもあります。したがって、制作の初期段階でイメージ共有が曖昧だと、デザインの好みだけで判断が進んでしまい、途中で「思っていたのと違う」「目的に合わない」という違和感が出やすくなります。
また、修正が増えると、見た目だけでなく文章や導線(ユーザーを目的のページへ自然に誘導する流れ)にも影響が及びます。すると、費用や納期の問題だけでなく、公開後の成果にも差が出ます。つまり、最初のイメージ共有は、完成度だけでなく運用成果にもつながる重要な工程だと言えます。
では、どうすれば「感覚的な言葉」を「伝わる情報」に変換できるのでしょうか。ポイントは、抽象的な印象をそのまま投げるのではなく、具体的な材料を揃えて共有することです。
まずは「参考になるサイト」を用意して、会話の土台を揃える
最初におすすめしたいのは、イメージに近い参考サイトを探しておくことです。ここでいう参考サイトは、完全に同じものを作るための見本ではありません。むしろ「どの要素が好きか」を言語化するための材料として活用します。なぜなら、言葉だけでイメージを伝えるよりも、実際の画面を見ながら話した方が、認識が揃いやすいからです。
参考サイトを探す際は、業種が近いサイトだけに絞る必要はありません。たとえば、飲食店のサイトでも、余白の使い方や写真の見せ方が魅力的なら十分に参考になります。大切なのは、「どこが良いと感じたのか」を後で説明できる状態にしておくことです。さらに、候補を1つだけにせず、方向性の近いものを複数用意しておくと、「共通点」が見えてきます。共通点が見えると、好きなテイストがより具体化し、制作側にも意図が伝わりやすくなります。
なお当然ながら、参考サイトのデザインや文章をそのままコピーすることはできません。著作権やオリジナリティの観点からも、参考は参考として扱い、「要素」を抽出して共有する姿勢が重要です。

「好き」を分解して、伝えられる要素に変える
参考サイトが揃ったら、次に行うべきは「どこが好きか」を要素に分けて整理することです。ここが曖昧なままだと、結局「この感じが好き」という感覚のまま会話が進んでしまい、制作側は判断材料を得にくくなります。
たとえば、見た目の印象は、色の選び方だけで決まるわけではありません。写真のサイズ感、文字の大きさ、行間、余白、ボタンの形、動きの有無など、複数の要素が合わさって雰囲気が作られます。したがって、「落ち着いた印象」と言うだけでなく、具体的に「彩度を抑えた色味が良い」「写真は大きく見せたい」「文字は細めで読みやすい方が良い」といった形に置き換えると、一気に伝わりやすくなります。
また、誰に見てもらうサイトなのかという視点も欠かせません。ここでいう「ターゲット」とは、難しいマーケティング用語ではなく、「主に見てほしい相手」のことです。たとえば、同じサービスでも、若年層向けか、ファミリー向けか、法人担当者向けかで、適した表現は変わります。つまり、好みのデザインを語ることと同時に、「誰に、何を、どう伝えるか」を一緒に整理できると、制作の精度が上がります。
そして、サイトの構成(どんなページを用意し、どの順番で見せるか)も、イメージ共有の重要な一部です。見た目の話に偏りがちな場面ほど、「最終的に見てもらいたいページはどこか」「問い合わせに進んでほしいのか、まずは理解してほしいのか」といった目的の話に戻ることで、会話がブレにくくなります。
最後は「目的」と「優先順位」を共有して、判断基準を一本化する
ここまでで材料と要素が揃ったら、最後に行うべきは優先順位の整理です。なぜなら、ホームページ制作では、すべてを100点で実現するのが難しい場面が出てくるからです。たとえば、情報量を増やせば丁寧になりますが、トップページが長くなり、見やすさが下がることもあります。逆に、シンプルにしすぎると、安心材料が減って問い合わせにつながりにくくなる可能性もあります。
だからこそ、「何を最優先にするか」を最初に共有しておくと、制作途中の判断がスムーズになります。たとえば、信頼感を最優先にしたいなら、実績や事例、会社情報を丁寧に見せる設計が向きます。一方で、予約や購入など行動を最優先にするなら、導線を短くして迷わせない構成が効果的です。このように、目的に応じて「良いサイトの形」は変わります。
さらに、制作の途中で迷いが出たときは、参考サイトや要素の整理に立ち返ると、判断が揃いやすくなります。感覚で修正を重ねるのではなく、「当初の目的に照らすと、どちらが適切か」という基準で選べる状態を作っておくことが、失敗を防ぐ最大のポイントです。

まとめ:伝え方が変わると、完成度とスピードが同時に上がる
作りたいホームページのイメージをうまく伝えるには、抽象的な言葉だけで会話を始めるのではなく、参考サイトを用意し、好きなポイントを要素に分解し、目的と優先順位まで共有することが重要です。そうすると、制作側は判断材料を持って設計でき、依頼者側も「何がどう反映されたのか」を確認しやすくなります。結果として、修正が減り、完成までのスピードが上がり、公開後の成果にもつながりやすくなります。
次回、さらに一歩進めるなら、「目的に直結する文章(キャッチコピーや説明文)をどう整えるか」や、「問い合わせを増やす導線の作り方」も合わせて検討すると効果的です。ホームページは公開して終わりではなく、改善しながら育てていくものだからです。




